2019年10月3日

★新規就農者の経営心得について(第4回)

本編は、大分県で新たに農業を始める「新規就農者」に向けた、経営の心得について、先輩就農者の声をもとに平成28年度に作成された冊子の内容を4回シリーズで掲載しています。
最終回の今回は、「地域とのつながり」、そして、先輩就農者が経験した「トラブルや失敗」についてです。

【シリーズ目次】
第1回
 心得1 しっかりとした経営理念を持とう
 心得2 将来のビジョンを描こう

第2回
 心得3 営農にあたってのこころがまえ
 心得4 がんばる原動力、モチベーションを保つためには

第3回
 心得5 栽培管理の注意点
 心得6 経営管理の注意点

第4回
 心得7 地域とのつながりについて
 心得8 トラブル、失敗事例


心得7 地域とのつながりについて

十分認識されていることと思いますが、農村社会の一員として地域に溶け込み、お互い助け合って協力し合い、地域に貢献する姿勢が重要です。日頃から地域のつきあいを大切にしていれば、「新たな農地を確保したい」、「パートを雇用したい」といった際に、誰かが世話を焼いてくれたり、有益な情報を得やすくなります。
地域住民との良好な関係は、今後の円滑な営農には欠かせません。

(先輩就農者の声)

  • 地域外から移住してきたので、地元の風習・しきたりに戸惑った。積極的に行事に参加するなど、早く慣れるように努力している。
  • 自分一人で農業をすると勘違いしてはいけない。地域があってこそ。感謝する姿勢が大切。
  • 知らない人でも、通りかかった人には挨拶して頭を下げるようにしている。
  • 県外からの移住・就農は逆にチャンスではないか?地域に溶け込んでしまえば、年配の方は面倒を見るのが好きなので、いろいろ大事にしてくれる。

(地域の行事など)

  • 草刈り、水路清掃
  • 冠婚葬祭
  • 自治会の役員
  • 消防団
行事などに積極的に参加していると、区長など地元の有力者にも顔を憶えてもらい、何かあったときに見方になってもらったり、助けてもらえるなど心強いです。
ただし、あれもこれも引き受けてしまうと自身の営農に影響を及ぼしてしまう可能性もあります。非常に悩ましいところですが、どうしても忙しくて厳しい場合は丁寧に断りを入れ、別の機会に何らかの形で貢献するなど対応しましょう。

(注意点)

  • 圃場のすぐ隣に住宅がある、隣接している農家が別の品目を栽培してるといった場合、農薬散布は事前に連絡するなど注意しましょう。
  • 一部の人ですが・・・中には移住者・新規就農者を快く思っていない地元住民・農家がいる場合もあります。地域の特性もあると思いますが、残念ながらこういう話もあることを知っておいてください。

心得8 トラブル、失敗事例

現地で耳にしたトラブルや先輩就農者が、「失敗した」、「ここで困った」、といった声をひろっています。細かな点も含め、いくつか事例を紹介します。

(トラブル・失敗事例など)

  • 冬場の農閑期に、気づかないうちに凍結で配管が破損していた。施設のメンテナンスを見落としていた。
  • 身内の不幸で数日間地元に帰省している間の圃場管理に困った。

(県外からの移住者)

  • ハウスを県外の業者にお願いしたら、対応がいまいちで手抜き工事の様な気がする。地元の業者にするべきだった。
  • 農薬が無くなって買いに行ったら、在庫が無くて入荷まで1週間待ちと言われた。
  • 体調不良により作業が遅れた。
  • 農地が離れた場所に分散しており、作業効率が悪く管理がいきとどかない。
  • 経費を節約して自分たちだけで回そうとしたけど、手が回らず収量を落としてしまった。雇用を入れてでもしっかり収穫しておけば、もっと所得は上がっていた。
  • 肥料代を渋って投入量が少なかった。もっとしっかり投入するべきだった。
  • 新たな栽培方法を試したら失敗した。
  • 雇用したいが人がいない。労働力の確保に困っている。
  • 交通違反により免停になった。軽トラの運転が出来ないので、営農に大きな影響が出た。
  • 青色申告は事前に税務署へ届けないといけないルールを知らなかった。
    (※毎年3月15日まで、または営農開始から2か月以内に管轄の税務署に申請しましょう。)

事前に準備しておけば未然に防げた可能性のあるものや予期せぬトラブルなど、様々です。今後の経営に影響を及ぼす可能性のあるポイントを少しでも事前に取り除いておくよう、定期的なセルフチェック・改善の取り組みをこころがけましょう。

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